ヒステリア
劇場に入るや、既に舞台上では串田和美氏演じるフロイトが
じっと椅子に座って目を閉じています。
そして、開演時間が過ぎ、客席の照明が落とされても尚フロイトは何も喋りません。
そんな静まり返った時間が数分過ぎた頃
「私が何か話し出すと思ったのかね
そりゃ残念だったね
沈黙と言うのは、君が思っているよりもずっと雄弁なんだよ」
と、ひと言。
観客に対する軽い心理的な演出から舞台はスタート。
う~、中々やるな(-_-;)
で、その後のストーリーは・・・すいません、端折ります。
自ら提唱したヒステリー理論を覆したフロイト(串田和美)。
それが理由で、過去に治療を受けた母親の死はフロイトのせいだと、説明を求める娘ジェシカ(荻野目慶子)。
シュールレアリズムの象徴としてフロイトを訪ねる画家サルバドール・ダリ(白井 晃)。
癌に侵されたフロイトの主治医で、フロイトの最後に著書「モーゼと一神教」は神に対する冒涜として出版に反対するヤフダ(あさひ7オユキ)。
この4人の掛け合いで、いつしか現実と妄想が入り乱れてきます。
その流れは非常に自然で、観客自身も気がつけばダリの絵画の様な妄想の世界に引き込まれていきます。
う~、中々やるな(-_-;)
「ジェシカ、年寄りには口に出せない事でも、若者には話せるんだな」
「話せても、耐えられるわけじゃない」
宗教的な台詞や、心理学的な台詞でのやり取りが殆どですが、決して難解ではなく、過と言って専門的な言葉も出てきて、ストーリーに奥行を出すなど
丁寧に練られた台詞のバランスが素晴らしかったです。
そして、ここら辺はよくある演出かもしれませんが
最後に主治医ヤフダは、癌に侵されたフロイトにモルヒネを打ち、フロイトは椅子に座って眠りにつきます。
そして目を覚ましたフロイトの台詞
「私が何か話し出すと思ったのかね
そりゃ残念だったね
沈黙と言うのは、君が思っているよりもずっと雄弁なんだよ」
そこにジェシカが訪れる最初と同じシーンで舞台は幕を閉じます。
最後の最後まで現実と妄想、時間をも入り乱れる演出となっていました。
上演時間は舞台にしては短い2時間でしたが、とても満足の行く面白い作品でした。
いや~イイもの観させて頂きましたよ。
ただ、シアタートラムの観客席、肘掛の無いクッションも薄いベンチシートなので、2時間くらいが丁度イイかも。
正直言ってあのシートは最悪・・・
ところで、パンフレット買おうと思ったら、まだ出来上がって来てないんだって。
無料で郵送してくれるそうなので、注文はしておきましたけど。
印刷会社、納期守らなかったね・・・ダメぢゃん。
by hiro-kousaka
| 2007-02-15 21:37
| 舞台演劇